娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
何度も開いた本ではあるが、ハジメテを経験したからこそ気付くものもあるわけで。
夢中になって読んだ結果、ハッとした時にはもう深夜を回っていた。


「シャル、遅いわね···?」

少し心配になり窓の外を覗くと遠くにキラッとしたものが見える。

「?」
なんだろう、と不思議に思いじっと見ているとそれは魔法で出来たブルーに輝く小鳥で····

窓を開け両手を出すと、ポンッと手紙に変わった。

「わ!これ···シャルからだわ!」

星空の下、魔法の小鳥に愛しい婚約者からの手紙。
そんなロマンチックな雰囲気に胸をときめかせる。

“小説みたいね!”なんてドキドキしながらそっと封を切った、その内容は1文だけだった。

『こわい』

「は?」

思わず怪訝な声が漏れ、その声に驚くがそんな場合じゃないと慌てて頭を左右に振る。

“ちょ、これ···なに!?どういう事なの!?何が起こってるの!?”

そのロマンチックとはかけ離れた文章に焦る。
何度も言うが、シャルは今代の英雄。
この国一番の騎士。
そして魔獣討伐の功労者。

そんなシャルからの想定外のSOSに変な汗が流れる。
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