娼館の人気No.1はハジメテの夜を夢見てる
涙だって拭わず、ただじっと彼女を見据えていた。


やっと“眠れる”ようになったシャルにまたそんな事を言うなんて絶対許せなかったから。


「王女様は普段寝ますか、というか寝ますよね。寝るのが当たり前ですよね。その当たり前が少々崩れたくらいで気にならないんですよね」

でもその当たり前を当たり前に出来ない人がいるのだ。

「その当たり前が、当たり前じゃなくなった時の事を考えられない独り善がりの王女様なんて、私は大っ嫌いです」
「べ、別に貴女なんかに好かれなくても私は···!」
「あら、国民からそっぽ向かれる王族ほど惨めなものはないと思いますけど」
「な····っ!ふ、不敬よ!貴女なんか、貴女なんか····っ」

ふんがふんが怒る王女様をそのまま無視してシャルの方へ視線を戻すと、私達のやり取りを呆然と見ていたシャルと目が合った。


「······幻滅したかしら?」
「いや、格好良かった。守ってくれてありがとな、リリス」

ふっと表情を綻ばすシャルに安堵しつつ、小さく深呼吸して真っ直ぐシャルの前に立った。


「シャルにとって“英雄”って何かしら」
「英雄···?」
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