仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです

沙羅が退院して数日後。

喜び事が続いた沙羅だったが、突然悲しい知らせを受けることになる。

北斗を会社に送り出した沙羅は、健斗のおむつを替えたり忙しくしている時だった。

突然、出て行ったはずの北斗から連絡が入った。



「沙羅、驚かないで聞いてくれ…多岐さんが今日……お亡くなりになったそうだ。」

「なんですって…嘘でしょ!」



他に家族や身寄りのない多岐は霧島家で葬儀をするそうだ。

沙羅は健斗を連れて霧島家へと急いだのだった。

ぎっくり腰になってからは、沙羅の所ではなく霧島家の本家でゆっくりと過ごしていたと聞いている。

多岐は皆に隠していたが、心臓に持病があったようで、自分がもうそう長く生きられないと分かっていたようだ。



沙羅が霧島家に着くのと同じくして北斗も到着していた。

北斗の母は私達にそれぞれ綺麗な花柄の封筒を渡したのだった。

この手紙は生前に多岐が皆に当てて書いてくれた手紙だったのだ。


沙羅の手紙には、出産に立ち会えなかったことのお詫びや楽しかったバーベキューの思い出などが書かれていた。
そして多岐の部屋にプレゼントが置いてあるっと書かれており、行ってみると健斗のために、沢山のおむつが丁寧に作ってあったのだ。
沙羅はそれを見て涙が止まらなくなってしまった。
体調が悪くなっても沙羅たちのために、一生懸命作ってくれたと思うと胸がいっぱいだ。


そして北斗の手紙には、北斗が小さい頃からの思い出が書かれていたそうだ。
多岐の宝物は北斗が小さい頃に描いてくれた多岐の似顔絵だと書いてあった。
大切にしまわれた箱の中には、日に焼けてしまった画用紙に幼い北斗が書いた似顔絵が書いてあったのだ。
北斗はそれを見て崩れ落ちるように涙を流した。


多岐はもちろん太一や里香にも手紙やプレゼントを残していたのだ。



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