仕返しのつもりだったのに、溺愛されているようでなんだか幸せです
太一のマンションに到着すると、太一の奥様である里香が出迎えてくれた。
里香は美人というより人懐っこい童顔の可愛い女性だ。
恐らく太一が到着前に家に連絡してくれたのだろう。
その女性は沙羅を見るなりくしゃりと笑顔をつくって沙羅に手を差し伸べた。
「大丈夫ですか…さぁ早く部屋に入ってくださいね。」
里香は何も聞かずに沙羅を部屋に迎え入れ、温かいスープを用意してくれていた。
沙羅は里香に向かって頭を下げた。
「突然にお邪魔して申し訳ございません。」
里香はふわりと優しい表情で沙羅を見た。
「困ったときはお互い様でしょ。お風呂も用意してあるからゆっくりしてね。」
裸足で歩いて来た沙羅のためにお風呂も用意してくれていたのだった。
夢中で歩いていたので気が付かなかったが、落ち着いてみれば足の裏がチクチクと痛い。
小石などを踏んで傷になっているようだ。
沙羅はお言葉に甘えてお風呂で足の汚れなどを洗い流すことにした。
沙羅がお風呂から出ると、部屋がなにやら騒がしいようだ。
そっとドアを開けると、そこには心配そうな顔をした北斗が立っていた。
太一の連絡で急いで駆け付けてくれたのだろう。
うっすら額に汗もかいていて急いで来てくれたのがわかる。
北斗は沙羅の顔を見るなり駆け寄り大きな声を出した。
「沙羅!大丈夫か?何があったんだ!どうしてこんな事に!」
北斗は慌てたように沙羅の肩を掴み、息もつかせぬような勢いで沙羅に詰め寄った。
北斗の勢いに沙羅は言葉を詰まらせた。
すると、それを見ていた太一が横から声を挙げた。
「北斗!そんなに沙羅ちゃんを問い詰めるなよ。困っているじゃないか。」
北斗は太一に言われたことで、はっと我に返ったようだった。
「…ごめん沙羅。君の事が心配でつい…大きな声を出してしまった。」