女王陛下は溺愛禁止!
 エアは続けて大量の花びらを空中に舞わせた。
「今だ!」
 ラドウィルトはクライドをかついで大きな岩の陰へ行き、アンジェリアは自分がさきほど投げ捨てた短剣を拾いに走る。
「ええい、道化の奇術ごとき!」
 マリオンが魔力で花吹雪をどけようとする。

「うーん、俺って神なんだけどなあ」
 エアは不満そうにさらに花びらを舞わせてマリオンを翻弄する。
「くそ、お前も魔力を持っているのか!?」
「神の力だってば。人間ってたいがい不敬だよねえ」
 エアはぶつぶつとぼやく。

 マリオンは魔力をふるうが一瞬は花びらを散らせてもまたすぐに彼の視界を遮る。アンジェリアを狙いたいようだが、花びらに邪魔されてうまく狙いをつけられない。魔力の塊が矢のように発せられても見当違いの方向にばかり飛んでいた。
 アンジェリアは短剣を手にマリオンに走り寄る。
 そのまま体当たりのように刺そうとするが、マリオンがさっと避ける。

「女王自ら手を汚すのか」
 マリオンがせせら笑い、魔力でその短剣を叩き落す。

「——っ!」
 激痛が走り、アンジェリアは声にならない声をあげ、手を押さえた。
 どさっと音がして、アンジェリアが地面に倒れた。マリオンの魔力によるものだ。

「アンジェリア!」
 エアが悲痛な声をあげる。
「やめろ!」
 ラドウィルトが剣を持って陰から飛び出し、マリオンが力で吹き飛ばす。
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