こじらせ美女は王子様の夢を見る
.





玲央の部屋から出た私が行く場所はただひとつ。





(ピンポーン)




ガチャ





「ミナちゃん、早かったね。」



「颯太くん、聞いてくれる?」





隣の颯太くんの部屋。




「うん、どうぞ」そう言って部屋に通してくれる。




緊張で胸が張り裂けそう。




うまく、話せるかな。





「気持ち、決まった?」





颯太くんはいつもの笑顔で私に問いかける。





「うん、決まった。」





ちゃんと伝えよう。





うまく伝えられるかわからないけど。





私なりの言葉で。





「私颯太くんと出会えてほんとによかった。東京出たばかりで友達がいない私を気遣って東京観光に連れてってくれたり、私のバイト先にもよく来てくれたり、すごく嬉しかった。」




「うん」




「いつも優しくて、紳士で笑顔に癒されてた。」




「うん」




「でもごめん…私、玲央が好きみたい」






さっきやっと気づいた本音。





もう何を言われてもいい。





友達じゃなくなるかもしれないけど、




言わなきゃいけない、そう思った。




沈黙が怖くて、思わず目を閉じる。






「ふっ、目開けて?ミナちゃん」






その優しい声に目を開けると颯太くんは笑っていた。






「…ほ、んとにごめんなさい」



「そんな謝らなくていいよ、気持ちを伝えたのは俺がそうしたかったから。」



「…颯太くん…」



「ほんとはさ、気づいてたんだ。ミナちゃんが玲央のこと好きなんだろうなってこと」



「え?」



「だけど振り向いて欲しい欲が出て、玲央とミナちゃんを振り回すようなことしてた。ごめんね?」



「…そ、んな。こっちこそ。自分の気持ちに全然気づけなくて…」



「はは、玲央とミナちゃんは似てるよね」



「似てる?どこが?」




颯太くんは、首を傾げる私に「そうゆうとこ」そう言って頭を撫でた。





「玲央、待ってるんじゃない?早く行かなくていいの?」



「え?うん、」





玄関まで颯太くんに背中を押される





「あの、颯太くん!」



「ん?」



「これからも、友達として仲良くしてくれる?」





わがままかもしれないけど、





やっぱり私は颯太くんとの縁をここで終わらせたくない、そう思った。





「うん、もちろん」颯太くんは二つ返事でそう言ってくれた。




それがどれだけ嬉しいか…




やっぱり颯太くんは優しい。





「俺、ミナちゃんのこと好きになって楽しかったよ。ありがとね」





「うん私も!ありがとう!」







「玲央に泣かされたら、いつでもおいで」








そう言う颯太くんは




今までで一番、大人な顔をしていた。





     
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