飴ちゃん食べる?~よろしく焼肉ホスト部♡
「勝つための戦略。まずは客に好かれそうなキャラを演じていく。ホストには複数の営業方法がある。恋をにおわせる色恋営業、友達感覚な友達営業――」

 色恋、友達から始まり、オラオラ営業、アイドル営業、病み営業……と、色々営業方法があるらしい。そして相手がどのタイプが好きかを短時間で見極めるとか相手を心地よくするのが大切だとか、色々教えてくれた。

「そして、唯は実家で焼肉の上手な焼き方を教わってきて?」
「はっ? なんで実家で……」
「それは、焼肉ホスト部をやるからだよ。唯、肉上手く焼けないでしょ?」
「焼けへんけど。別に実家で教わらなくてもええやん。しかも焼肉ホスト部って……」
「いや、実家で練習するのが一番上達する!」
「でも……」

 いまいち乗り気ではない天野スミス唯。それはそうだよね。だって、家族と上手くいってなさそうだし。天野スミス唯の家族って、どんな感じなのかな? 実は裏で天野スミス唯にだけこっそり怖いとか?

――ひとりで行っても、大丈夫なのかな? 

 心配ばかりが心の中で湧き上がった私は

「私も、天野と一緒に実家に行く!」

と、宣言してしまったのだった。

 天野スミス唯は驚いた。そして橘裕翔くんと早乙女冬弥くんはふたりで目を合わせ、なにやら怪しげな笑みを浮かべていた。



 そんな出来事があり、今こんな感じに。

 思い出していると、いつの間にか天野スミス唯は眠っていて、私の肩に寄りかかっていた。

――寝顔もすごく可愛い。

 ずっと見つめていると、いつの間にか天野スミス唯の実家がある街の駅に着いた。

 駅や街は、なんだか懐かしく感じた。
 記憶はないけれど、もしかして私、小さい頃に来たことがあるのかも?
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