別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 いつしか佳純の目からは大粒の涙がこぼれていた。
 あのコスモスの丘で告白されてから四か月も経っていない。それでも佳純は瞬のことを心から愛していた。

 がらんどうの部屋の床に弱弱しくしゃくりあげる声が吸い込まれていく。

「……ごめんね、ママ泣きむしで。でももう泣かないからね」

 ひとしきり泣いた佳純は涙を拭き、お腹に手を当てた。

(そうだ。これからは私、ひとりじゃないんだ)

 佳純はしっかりバッグを肩に掛けると顔を上げ、玄関のドアに手をかけた。
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