好きを教えて、生意気なきみ

【第2話】失恋女と失礼男

あたし、勉強は好きじゃないけど本を読むのは大好き。



自分の知らない色んな世界が本の中にはあって、本を読むとわくわくが止まらない。



それは、弥玖のお父さん(つまりあたしの叔父さん)がブックデザイナーをしてることも関係してるのかも。



だから去年に引き続き図書委員になったのに…。



「どうしてあなたが…?」

「ジャンケンに負けた」



誰よ勝ったやつ!



なんて理不尽な怒りも湧いてくる…。



「はい、座ってくださーい」



図書委員の顧問の先生がやる気のなさそうに言う。



この先生は去年から引き続き図書委員顧問だけど、いつもやる気がなさそうだ。



「図書委員は、当番の曜日になったらお昼休みと放課後に、本の貸し出しや本戻しなどをしてね~」



毎週決まった曜日にお昼休みと放課後がつぶれるから、図書委員は結構人気がない。



あたしは率先してやりたがるから、あたしのクラスの人たちはホッとしてるみたいだけど。



「じゃあ曜日当番を決めるのでくじ引きしてね~。曜日当番は2人一組だからね~」



そう言って先生がキャラクターもののかわいい巾着袋を持ってきた。



くまルン…。



それ幼稚園生向けのキャラだよ、先生…。



とりあえず3年生から、巾着袋の中に入ったくじを順番に引いていく。



あいつと同じにならなければなんでもいいよ!



本当は、遊びたいから金曜日も嫌だけど…。



引いたくじは月曜日。



良かった~。



そして、あいつは火曜日だった。



良かった~!



と思ったら、



「俺塾あるから誰か変わってくれない?」

「あたしもこの曜日習い事あるから誰か変わって~」



なんて何人かが交換を求めてきた。



あらら…。



先生、最初から希望性にした方が良かったんじゃないか…?
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