恋は揺らめぎの間に



慶人君はふう…と息をついた。



「…もし、卒業式の時に会えていたら、違ったのかな?」

「…そうかもしれないね。」



あの日。ちゃんと慶人君と話していたら、何か違ったかもしれない。慎司君に会わなかったら、今が違ったかもしれない。けれどどれもタラレバの話だ。

慶人君にはきっと、私みたいなうじうじした人間じゃなくて、もっと素敵な人が現れるだろう。私にはとても、もったいない人だったから。



「もし…」



慶人君がじっと私を見つめてくる。



「もし牧瀬君と何かあったら、僕はいつでも歓迎するからね。」

「ふふっ。」



なんでもサラッとこなしてしまう慶人君が、駄々をこねているようで思わず笑ってしまう。



「そんなことがないようにするね。」



さようなら、私の初恋。
あなたのおかげで、私の青春はとてもキラキラしたものになりました。



< 129 / 162 >

この作品をシェア

pagetop