恋は揺らめぎの間に
パスタを食べ終えて、大学へと戻る道。車が来たと身体が寄せられた時にふわりと香った匂いに、あの頃とは違う慶人君を見つける。
あの頃はスポーツをしていたからか。制汗剤のせいなのか、爽やかな香りをしていた。今は香水だろうか?少し甘めの、落ち着いた大人の香りがする。
それを感じ取った時、1つの考えがすとんと胸に落ちてきた。
私達はもう、あの頃の私達ではない。あの頃にはもう戻ることはできない。
今は、あの頃とは違う。状況が変わってしまった。再会を果たすまでの間に、色々あって、気持ちにも変化があった。慶人君への気持ちを忘れようとしていた。そして、実際に忘れかけていた。
今慶人君に感じるトキメキは、自分の中にまだ残っている過去の自分がときめいているだけではないだろうか?
その考えに至った時、私は言っていた。
「…私、慶人君とは付き合えない。」