無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
それを合図かのように、私も急いで立ち上がる。
それと同時くらいに染野くんは、戸を開け歩き出したので、私も少し小走りになってその背を追う。
わ、ま、待って……っ。
戸の外に広がる玄関のすぐそばにある階段を、染野くんが上り始めるところで追いついた。
そして、その背中にぴったりと付いたまま歩く。
ふと染野くんの後ろ姿を見上げる。
やっぱり少し変わったな、と思う。
あのときは、髪の毛がきれいにまとまっていたけど、今はクシャっとしている。
真っ黒でつやがあったそれが、淡い茶色の髪に変わった。
そして、彼は私よりだいぶ背が高い。