無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


二人で資料室を出る。



教室へと向かう時ですら、一樹くんに手をつながれていて、私の鼓動は収まることを知らない。




「本当、どうしようもないくらい好き……」




人が多くなってきたときに、一樹くんがそんなことをつぶやいていたことを、私は知らない。



ただ私たちを見て、様々な声が飛んでくるのに気を取られてばかりで。



たくさんの声が聞こえてくるから、何を言っているのかはよく分からないけれど、呆然としている人が多かったのは分かる。




「玲奈、大丈夫っ⁉」




教室に戻ってからは、昼休みが終わるまでの短い時間だけれど、琴葉ちゃんに詰め寄られたのは言うまでもない。



一樹くんに対する〝好き〟の気持ちが、どんどんふくらんでいることを私は自覚していた。


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