無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
話しかけてくれたことに喜びを感じたのもつかの間、一樹くんのその声はいつもより低くて、思わずしょんぼりとしてしまった。
……やっぱり、仕方なく私のところに来てくれたんだよね。
私は小さくうつむいて、一樹くんに向けた伝言を口にする。
「せ、先生が……」
そこで、小さく目をつむる。
「先週までの課題、提出するようにって……」
「あー……、了解」
頭上からそんなそっけない返事が返ってきたと思えば、すぐにスタスタと遠ざかる足音が聞こえてきて。
はっとして目を開け、顔をあげると、一樹くんの姿はすでにそこにはなかった。
席に座ろうとしているところで、私たちが会話できたのはこれだけだったのだと気づく。
「……玲奈、最近染野と何かあったの?」
思わず一樹くんの様子を眺めていると、琴葉ちゃんが横からひょっこりと現れて。
心配そうに眉を下げ、私に聞いてきた。
「うーん、特に、なにもないよ」