無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


「……玲奈は、見なくていいから」

「……っ、ありが、とう……」

「……ん」



すると、突然私の背中に一樹くんの腕が回されて。
そのまま、ぎゅっと引き寄せられる。



「は……? お前、二年の染野だろ……?
なんでここに……」



突然の一樹くんの登場に吉岡先輩も驚いたのか、困惑した声が聞こえてくる。



「なんでって……、俺の家だから」

「は……!? お前、何言って……!
ここは朝倉玲奈の家だろ……!?」

「そうだけど」



……ちょ、一樹くんっ!?
それって、同居がバレることになるんじゃ……。


ひとりであたふたしているけれど、一樹くんの声音は変わらない。



「もしかして、お前ら……。


同居してんの?」



その言葉に、思わずひゅっと息をのむ。


あ……、どうしよう、バレちゃった……っ!


一樹くんと同居していることは、秘密のはずなのに……っ。


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