無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


どこか頬が緩んでいるのを自覚する。




「……?
なにうつむいてんの、朝倉」

「……へっ?」



突然声をかけられて、はじかれたように顔をあげる。


そこにあったのは、私を怪訝そうに眉根をよせている染野くんの姿。


えっと、なんて言えばいいんだろう……?


「勝手に〝いっちゃん〟呼ばわりしてごめんなさい」?


いやいやいやっ、ダメダメっ!!


私だけが気にしてたなら、恥ずかしすぎるし……!



「あ、あの、えっと」



何を言ったらいいのか分からなくて、ただ口をパクパクさせてしまう。


あっ、そうだ!



私がうつむいているときに感じたのは、それだけじゃなくて。

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