無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


染野くんの方を見たまま、頬を緩めて、笑みを浮かべる。



「家族にもそうやって呼ばれてるの、ほほえましいなって、思ったんです」



私の言葉に、染野くんが大きく目を見開いた。


そして、「ほほえましい、か……」と、彼は静かにつぶやく。


私たちの間に沈黙が流れた。


たかが数秒の沈黙。


だけど、永遠にも思える沈黙。


あ、れ、どうしたんだろ……。


なかなか染野くんの返事がないので、戸惑ってしまう。



「染野、くん……?」



思わず、彼の名前を呼ぶ。


私の声に、染野くんははっとしたような表情をした。


そして、ふっと息をこぼしてから、口を開いて。

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