苦手な上司にプロポーズすることになりました
 由人は思わず、給湯室に向かって一歩足を踏み出してしまっていた。

 俺も遅れて合流したけど、一緒にいたんだ、と言いに行こうか。

 いや、なんのためにっ?

 別に、薬川と竜吾が噂になっててもいいじゃないか。

 そうそう。
 俺が好きなのは、薬川みたいなのじゃなくて。

 あの……

 公園の……

 ぼうっとした……

 ……いや、ぼうっとした顔すぎて、もう思い出せないんだがっ!

 でも、ほんと、彼女みたいなタイプが好きなので、薬川は全然関係ないから!

 そう自分に言い聞かせながら、給湯室には行かずに、自動販売機に向かった。



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