苦手な上司にプロポーズすることになりました
 


 その週を、由人は、なんか、もやっとした気持ちのまま過ごした。

 土曜の朝。
 廊下を歩いていた由人の視界にそれは飛び込んできた。

 玄関近くの地面を佑茉が掘っている。

 なにやってんだ、と思いながら眺めていると、佑茉が気づき、立ち上がった。

 掃き出し窓から外に出る。

「どうした。
 死体でも埋めてるのか?」

「いや、こんな朝っぱらからですか?」
と赤いスコップを手に、佑茉は苦笑いする。

 近くまで行くと、どうやら、佑茉が植えているのはジャガイモのようだった。

 千賀代にもらった芋をなににしようかと迷っているうちに、芽がかなり出てしまったということだった。

「……証拠隠滅には違いなかったな」
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