苦手な上司にプロポーズすることになりました
 



 もう結婚しなくていい、か。
 その言葉を望んでいたはずなのに――。

 由人は自室にしている部屋で、スマホを見つめていた。

 もうここも出ていかなくてはな。

 お前の好きにすればいいと言ったあと。
 薬川からの返事はないし。

 ……なんかフラれた感じだな。
 別に好きだったとかじゃないんだが。

 いや、ほんとに。

 立ち上がり、窓から下を見る。

 庭の木々の向こうに街の灯りが見える。

 二人で行ったワインバーの入っているビルも見えた。

 そういや、釣りも行ったな。

 ……あいつは釣りに関しては、昼に食べた食堂のチャーハンの記憶しかないようだが。
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