苦手な上司にプロポーズすることになりました
 


 三十分も経たない間になにがあった……?

 結局、由人は佑茉に呼び出され、夜、会社近くの公園に来ていた。

 入社前説明会でもあったのか、スーツ姿の初々しい男女数人が公園外の道を歩いていくのが見えた。

 不安もあるのだろうが。
 夢と希望に満ちて、楽しそうだ。

 新入社員か。
 俺もあんな頃があったよな。

 会社の人間自体は悪くないのでは、という佑茉の言葉をふと、思い出す。

 確かに同期の連中も先輩もいい人が多い。

 ……ま、中には鬱陶しいのもいるが、と思ったとき、佑茉が駆けてくるのが見えた。

 まだ寒いが、春物のトレンチコートを着た佑茉は颯爽として見えて。

 先程の新入社員たちが思わずと言った感じで振り返り、見ている。

 ……でも、こういうんじゃないんだよな、と由人は思う。
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