苦手な上司にプロポーズすることになりました
 おおっ。
 部長が、仕事中みたいに積極的にっ、と思ったが、見つめ返すと、由人はすぐに視線をそらしてしまった。

「……とりあえず、隣の部屋でいいから」
と小さく付け足す。

 ……百歩下がってったな。

 部長と私の恋のペースは似ているようだ。

 そう思いながら、佑茉が笑うと、由人もちょっとだけ緊張が解けたようだった。
 
 部長はこの家、広すぎるから距離が遠いっていうけど。

 私は、日の落ちたこの広い広い庭で二人きりだと、世界に二人きりみたいで。

 ドキドキするんですけどね……。

 そう思い見上げる佑茉に、由人は、そっと微笑み、

 もう一度口づけてきた――。



              完




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