ただ、一面の青。
露草


夕飯の為にずっしりと重い袋を握りしめて自宅へ戻る途中、傘を持って出たおかげで雨には濡れずに済んだのに、とんでもないものに遭遇してしまった。


「あの…大丈夫ですか?」

小雨がいきなり大雨に変わり、通り行く人々も慌てて雨宿りしている中、その人はびしょびしょに濡れたままノロノロと歩いていた。

別に声なんてかけず素通りしてもよかったけど、そう出来なかったのは余りにもいつもと様子が違っていたから。


「最悪。あんたに一番会いたくなかったのに」

常に手入れされている髪はシャワーを浴びたみたいに乱れていて、綺麗に施されたメイクも落ちている。目の周りなんて本当にパンダみたいに真っ黒だ。

「あんた…なんなのよ」

私を見るなり泣き出したユナちゃんに駆け寄って、意味ないかもしれないが傘をさせば、泣き声がもっと大きくなった。

「優しくしないでよ!ユナがバカみたいじゃん!!」

怒鳴られて困惑するが、一度手を差し伸べてしまった以上大泣きしている相手に「はい、さよなら」という訳にも行かない。それに、素肌に張り付いた制服を指差してニヤついてる男もいるし、何より片手で持った買い物袋も重い。

だから、ついこんな事を言ってしまった。


「あの、、取り敢えず、うち近いんで来ませんか?」

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