Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 宛先不明のメールが気になって仕方なく、返信バーに文字を打ち込んだ。けれども、送信ボタンがタップできず送れない。こちらからのメールは一切送れずにただ受信するのみとなっている。

 いったい何なんだろうと頭を抱えた。未来からのメールなんて、いたずらもいいところだ。最初はそう考え、偶発的な災害をたまたま言い当てられただけと思い込んでいた。

 しかしながら、その偶然は何度も続く。災害のみならず、株の値動きや競馬の当たり馬券をも知らせてきた。お金に関する内容に触れ、想乃はことさら送り主を警戒した。

 実はここで詐取するのが目的かもしれないと身構え、スルーすると、どういうわけかそれすらもぴたりと当たった。

 未来人を名乗るこの送り主は、まさか本当に今より先の時代で生きている人なのではないか。いつも一方通行で返信できないのもおかしい。徐々にそう考えるようになり、スマホにメールが届くと気になって見てしまうのだ。

 メールの文章を読み取り「え」と声がもれた。今までに一度もない、人の死に関する内容が書かれていた。

 予知される日付けは明日の午後で、幼い男児が信号のある横断歩道で事故に遭う、という。男児の持っていたボールが歩道から転がり、それを取りに走ることで車に撥ねられる。事故が起こる時間は十四時二分だ。

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