Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
想乃は赤ら顔でバーコードスキャナを掴み、彼のスマホから電子マネーをちょうだいする。「いや」と言い、彼が小さく首を傾げた。
「何かありました?」
「……え」
「いつも元気な浅倉さんが今日は沈んでるんで。体調でも悪いのかと」
優しげに目を細める彼を見て、想乃は丸い瞳を揺らした。
これまでに接客マニュアルの会話しかしてこなかったので、幾らか感動を覚えていた。ましてや制服に付けた名札から名前を呼んでもらえるなんて。
「だ、大丈夫です。ちょっと寝不足なだけなので」
「……そうだね、確かに目が赤い」
そう言って彼がふわっと微笑む。わ、と心の内で声を上げた。胸の奥がじわりと温まり、心臓が早鐘を打つ。
「あまり無理しないで?」
レジ袋の持ち手に指をかけると、スイーツプリンスは爽やかな笑みを残して立ち去った。「ありがとうございます」と続けた挨拶がわずかに震えていた。退店のベルが鳴り、想乃はしばらくの間放心した。
……嘘みたい。あのスイーツプリンスに話しかけてもらえるなんて。
「尊い」とついうっかり呟いてしまう。沈んでいた気持ちが払拭され、うっとりと吐息をもらした。
「何かありました?」
「……え」
「いつも元気な浅倉さんが今日は沈んでるんで。体調でも悪いのかと」
優しげに目を細める彼を見て、想乃は丸い瞳を揺らした。
これまでに接客マニュアルの会話しかしてこなかったので、幾らか感動を覚えていた。ましてや制服に付けた名札から名前を呼んでもらえるなんて。
「だ、大丈夫です。ちょっと寝不足なだけなので」
「……そうだね、確かに目が赤い」
そう言って彼がふわっと微笑む。わ、と心の内で声を上げた。胸の奥がじわりと温まり、心臓が早鐘を打つ。
「あまり無理しないで?」
レジ袋の持ち手に指をかけると、スイーツプリンスは爽やかな笑みを残して立ち去った。「ありがとうございます」と続けた挨拶がわずかに震えていた。退店のベルが鳴り、想乃はしばらくの間放心した。
……嘘みたい。あのスイーツプリンスに話しかけてもらえるなんて。
「尊い」とついうっかり呟いてしまう。沈んでいた気持ちが払拭され、うっとりと吐息をもらした。