Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
その日の夕方。父と母を乗せたフェリーが津軽海峡付近で座礁し、船体が大きく傾いて転覆したというニュースが報じられた。父は帰らぬ人となり、母は意識不明の重体で今もなお病院のベッドで眠り続けている。
突然起こった家族の不幸により、想乃は在籍していた音楽大学を自主退学して急遽働かざるをえなくなった。それまで私立中学に通っていた弟も、学費をおさえるため、公立の中学へと転校した。
想乃に未来で起こるできごとを知らせて、それを未然に防いで欲しいと頼むのならば。なぜあの日あの時、両親の事故を知らせてくれなかったのか。そう思わずにはいられなかった。
コンビニへ戻り、休憩を切り上げた。どことなく浮かない顔つきで接客していると、不意に「大丈夫ですか?」と尋ねられた。え、と呟き、顔を上げる。
……っあ!
想乃は瞬時に息をのんだ。カウンターに置かれた商品が“かぼちゃと栗のパフェ”で、なおかつカウンターコーヒーを頼まれてレジ打ちしたのに全く気づかなかった。
スイーツプリンスがいつものようにスマホを差し出しながら、想乃を案じるように見ていた。さっきのできごとが頭から離れず、推しが来店していたのにも気づかなかった。
「す、すみません、ぼんやりしちゃってっ。すぐにお会計しますので」
突然起こった家族の不幸により、想乃は在籍していた音楽大学を自主退学して急遽働かざるをえなくなった。それまで私立中学に通っていた弟も、学費をおさえるため、公立の中学へと転校した。
想乃に未来で起こるできごとを知らせて、それを未然に防いで欲しいと頼むのならば。なぜあの日あの時、両親の事故を知らせてくれなかったのか。そう思わずにはいられなかった。
コンビニへ戻り、休憩を切り上げた。どことなく浮かない顔つきで接客していると、不意に「大丈夫ですか?」と尋ねられた。え、と呟き、顔を上げる。
……っあ!
想乃は瞬時に息をのんだ。カウンターに置かれた商品が“かぼちゃと栗のパフェ”で、なおかつカウンターコーヒーを頼まれてレジ打ちしたのに全く気づかなかった。
スイーツプリンスがいつものようにスマホを差し出しながら、想乃を案じるように見ていた。さっきのできごとが頭から離れず、推しが来店していたのにも気づかなかった。
「す、すみません、ぼんやりしちゃってっ。すぐにお会計しますので」