Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「あ」と細い声をもらし、手にしたグラスに視線を注いだ。「ちょっと。人酔いしてしまって」。言いながら、それが適切かどうかもわからず、首を傾げる。正体のわからないモヤモヤをどうにか静めたかった。
「そっか。なら少しの間だけ外の風にあたる?」
想乃はううん、と首を振り、曖昧に視線を泳がせた。立食のために並んだ料理に目が止まる。
「慧弥さんと。デザートを食べたいです」
ふたりだけで、という意味をこめて見上げると、慧弥がふっと表情を崩した。
「いいよ、行こ?」
先ほどと同様に想乃の飲みかけのグラスを通りかかったボーイに渡して、慧弥にきゅっと手を繋がれた。
「ごめんね、うるさいのばっかで」
「うるさいのは主に美海と花奏だけどな」
「ひどい言われよう」
「じゃあ、そういうことだから」
潤と美海が慧弥の非難を軽く受け流し、ひらひらと手を振った。
次のプログラムに移るまでの数十分、想乃は慧弥とふたりでスイーツを皿に盛りながら笑い合った。彼の笑みに本物があるのかどうかはわからない。
けれど、今はふたりだけの穏やかな時間が想乃にとっての喜びだった。
ただ婚約者を演じているだけの、薄っぺらい関係に過ぎないけれど。やはり自分も欲しいと思った。慧弥と自分を繋ぐ、この先も切れない確固たる絆が。
「そっか。なら少しの間だけ外の風にあたる?」
想乃はううん、と首を振り、曖昧に視線を泳がせた。立食のために並んだ料理に目が止まる。
「慧弥さんと。デザートを食べたいです」
ふたりだけで、という意味をこめて見上げると、慧弥がふっと表情を崩した。
「いいよ、行こ?」
先ほどと同様に想乃の飲みかけのグラスを通りかかったボーイに渡して、慧弥にきゅっと手を繋がれた。
「ごめんね、うるさいのばっかで」
「うるさいのは主に美海と花奏だけどな」
「ひどい言われよう」
「じゃあ、そういうことだから」
潤と美海が慧弥の非難を軽く受け流し、ひらひらと手を振った。
次のプログラムに移るまでの数十分、想乃は慧弥とふたりでスイーツを皿に盛りながら笑い合った。彼の笑みに本物があるのかどうかはわからない。
けれど、今はふたりだけの穏やかな時間が想乃にとっての喜びだった。
ただ婚約者を演じているだけの、薄っぺらい関係に過ぎないけれど。やはり自分も欲しいと思った。慧弥と自分を繋ぐ、この先も切れない確固たる絆が。