Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜


 リビングのソファに腰を埋めながら、想乃はスマホを見つめていた。還暦祝いパーティーから二日が過ぎていた。

『おしゃれダイアリー』のサイトに繋ぎ、非公開にしっぱなしのブログの設定を公開に切り替える。

 慧弥の知り合いかもしれないと一度疑った匿名主。その人には二度と読まれないように、既にブロック設定をしているし、あれからひと月も経ったのだから、そろそろ大丈夫かなと思ったのだ。

 正直なところ、誰かに読まれたいと思って始めた日記ではないのだから、デジタルではない通常のノートにひっそりと書けば済む話だ。

 しかし、全く関係のない第三者に読んでもらい、共感や助言をもらえるのなら、今さら孤独に書き続けるという選択肢はなかった。

 顔も知らない誰かに胸の内をさらけ出し、率直な意見を聞かせてもらえると、心がふっと軽くなる。特に恋愛に関する内容は共感を得やすいからか、気軽にコメントを書いてもらえる。

 昨夜書いた還暦祝いパーティーの内容にも、早くも一件のコメントが寄せられていた。

《ブログが読めなくなっていたので、どうしたのだろうと心配していました。上流階級の集まりで、さぞ緊張されたのではないでしょうか。このままピアノSさんの恋愛が成就することを願っています》
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