Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
以前から日記を読んでくれていたアカウントで、母の治療についても応援コメントを書いてくれた方だ。
《ありがとうございます、ご心配をおかけしました。一時パスワードを紛失してログインできずにいました》
わざわざ嘘で言い訳をする自分は、かなり滑稽だと思ったけれど、これでいい。あの辛辣なコメントに動揺して書けなくなったという本音を悟られたくなかった。
ちなみに、パーティーでピアノを披露したことは、あえて書かなかった。身バレの可能性を考えて、詳細な情報は伏せることにした。同じ失敗は繰り返さない。
日記の内容を何気なく読み返し、ふぅ、とため息をついた。
《お義母さまに直接挨拶ができなかったのが、心苦しい》。自分で書いたその一文を目にすると、必然的に慧弥のことを思い出してしまう。慧弥は穂花を母として認めようとしなかったのではないか。
慧弥は実母の雅を大切に思っていたのだから、母の座を奪われたように感じたのかもしれない。
それにしても、あれほどの嫌悪をむき出しにするのは、少し行き過ぎに思える。彼の態度からは、はっきりとした侮蔑の感情が窺えた。
「——っあ、」
突然震えたスマホに息をのむ。慧弥からの着信に思わず鼓動が速くなった。
「もしもし?」
《ありがとうございます、ご心配をおかけしました。一時パスワードを紛失してログインできずにいました》
わざわざ嘘で言い訳をする自分は、かなり滑稽だと思ったけれど、これでいい。あの辛辣なコメントに動揺して書けなくなったという本音を悟られたくなかった。
ちなみに、パーティーでピアノを披露したことは、あえて書かなかった。身バレの可能性を考えて、詳細な情報は伏せることにした。同じ失敗は繰り返さない。
日記の内容を何気なく読み返し、ふぅ、とため息をついた。
《お義母さまに直接挨拶ができなかったのが、心苦しい》。自分で書いたその一文を目にすると、必然的に慧弥のことを思い出してしまう。慧弥は穂花を母として認めようとしなかったのではないか。
慧弥は実母の雅を大切に思っていたのだから、母の座を奪われたように感じたのかもしれない。
それにしても、あれほどの嫌悪をむき出しにするのは、少し行き過ぎに思える。彼の態度からは、はっきりとした侮蔑の感情が窺えた。
「——っあ、」
突然震えたスマホに息をのむ。慧弥からの着信に思わず鼓動が速くなった。
「もしもし?」