Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「姉ちゃんのせいで言いそびれてたけど。前にライン交換してたから」

 そう言ってほら、とトークルームを見せられる。郷が出したトーク画面に数回のやり取りがあった。

【お姉さんって彼氏いるの?】
【いないよ。いたことない】
【じゃあお姉さんの食べたいものって何かわかる?】
【肉だよ、肉】
【肉?】
【ステーキ。昨日食べたいって言ってた】

「ちょっと、郷! なによ、これ!」
「なにって。慧弥さんから教えてって言われたから」
「そうじゃなくて。あんたの返信! 彼氏いたことないとか肉とか。デリカシーがなさすぎるっ。大体ステーキが食べたいって言ってたのは郷のほうで、」

 そこまで言ってからハタと気がついた。ふと真顔になった想乃を見て、郷が怪訝な顔をする。

「待って。並樹さんが、教えてって? 私について?」
「そう。デートに誘おうと思ってるからって。姉ちゃんやる〜?」

 からかうようにして両手で指を差された。調子のいい郷にジロッと横目を向ける。

 だから昨日連れて行かれたのがステーキハウスだったわけか。

 そして同時に思うこともあった。

 もしかして。並樹さんは前もって調べていたのかな。私について……。
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