Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 テラス席の向こうには青々とした木々が立ち並び、滝壺があった。そこから緩やかに傾斜した川に繋がり水が流れている。小高くそびえ立つ山からは滝が流れ落ちていた。持続的な水音を聞き、気持ちがいいなと思った。つい深呼吸をしてしまう。

「どうぞ」と言って並樹に椅子を引かれた。席をすすめられてふわふわと気持ちが浮き立った。

 向かいに座った彼に「気に入った?」と聞かれ、想乃はにこにこしながら頷いた。「良かった」と並樹が微笑む。

「実は森か海で迷ったんだけど。海沿いだと今日は風が強いみたいだから森にしたんだ」

 言いながらメニューを広げて先に見せてくれる。「なんでも好きなものを食べていいよ」と言われ、メニューの写真を眺めた。

 あ。これ美味しそう。

 想乃が目を留めたのは、ローストビーフとパンのセットだ。アボカド入りのグリーンサラダの上に鮮やかなローストビーフが乗せられ、温野菜が添えてある。パンは五種類から三つを選べるとあった。

 きらきらした笑みを浮かべる想乃だが、写真の下に記載された価格を見て表情が固まる。税込2580円。

 だめだ。もうちょっと安いのにしよう。
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