ファースト・ラブ
初夏。
文化祭の準備の時期がやってきた。

去年のこの日だったっけ、俊くんと初めて喋ったの。

2-2の教室の前に来る。
去年みたいに男子が廊下を駆け回り、女の子がひとりで準備をしていた。

あっ、思わず声が漏れる。

その子の上履きの紐が、私と同じ水色。

去年の懐かしい光景がフラッシュバックして来て、笑みが溢れる。
私のブレザーのポケット中には、あの日貰った第二ボタン。
ポケットから取り出して、空にかざしてみる。


俊くんが3年間を共にしたそれは、今、私の手の中で光っている。
これは、私の宝物。

私の大切な、大切な、


初恋。






ーーーーーーーーーーーーー『ファースト・ラブ』(完)

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