△からも程遠い

プロローグ

私は、一体どこで間違えたんだろう。


十一月始まりの夜はもう凍えるほどに寒くて、吐けば白い息がふわりと上へ上へと上がっていく。

ああ、もうそんな季節か、コートを出さないとな。
そんなことを考えながら少し早足で家路を辿る。

公園の前を通り過ぎ、あるものを目にした時、何故か足が凍りついたように動かなくなった。

あまりの寒さについに体が耐えられなくなったのか。はたまた、私は未だに"引きづっている"のか。

そんなことはわからない、いや、考えたくもない。
何かを考えて、またバツをつけられるのはごめんだ。

凍てついて動かない足を無理矢理にでも前へ前へと踏み出す。

わからないくせに、今すぐここから離れたいという思いだけは確かで。
ここは冷たい場所だからと、気づけば冷たい風を前からビュンビュンと吹いていた。

早く、暖かさが欲しい。



屋内に入った途端もわっと暖かさを感じたのでさえ、 私の感覚がおかしくなったのかと疑わずにはいられないほど、今の自分は間違いだらけだ。

誰かが暖房をつけたのだろうか。
少し考えればそうわかるのに、頭が回らない。

上着を脱いで、その場に投げ捨てる。
今は上着を掛ける気力すらなかった。

途端、ポケットに入れていたスマホが振動したのを感じて、反射的にスマホを取り出す。

ああ、なんだ。理緒じゃ、ないのか。

「ッ!?」

何を、思っているのだろう。

理緒とは、もう......。



それほどに、私は失敗をしてしまった。

いや、失敗なんかじゃ生ぬるいほどに、もっと、もっとどす黒くて、ぐるぐるとしていて、腸から気持ち悪いものが出てきそうな。

もう戻れないと、アリジゴクに吸い込まれるアリのような。

 
正答率90%の問題を△にかすりもしないほどの解答をしてしまったのかもしれない。


模範解答とはかけ離れた、そんな重大な、致命的な失敗を犯してしまった。



自分でそうわかっているくせに、理緒を求め続ける私は、なんと滑稽で無様なんだろう。



__せめて、せめて△であれば。△だったのなら、君はまた、私にチャンスをくれたのかな。




雪の降る音がうるさくて、窓の外を見ると、気づけば一面が白く覆われていた。
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