今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
「俺、誠(まこと)」

「マットじゃないの?」

つい敬語を外してしまう。

「はは。マットはあだ名。君は?」

そう言ってジントニックをクイっと飲む彼。

「私は紅羽です」

「紅羽ちゃんね」

こんなイケメンにちゃん付けされるのはなんだか鼓膜がむず痒いな。

「私はなんて呼べばいいですか?」

とりあえず聞いてみる。

「敬語いらないよ。誠で」

「誠…さん」

復唱すれば何故かクスッと笑われた。

「それで、何で花束?」

「ああ…」

正直に言ってもいいものだろうか。
この人も私を同情する?

「なんでそんな微妙な顔してんの?」

「え?」

微妙な顔?

「話してみ」

誠さんは聞きたいらしい。



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