今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
「え? あ、これ、わたしが作ったんです」

「そうなんだ。いいね。凄く似合ってる」

マットさんはフッと片側の口角を上げて笑うと奥のカウンターに座った。

ここはカウンターが五席程であとはテーブル席だ。

私は反対側の席に座ろうとする。

「いや、こっち座りなよ」

マットさんが自分の隣の席をポンポンと叩く。
いや…

もじもじしていれば、男性二人組のお客さんが入ってきて常連なのか迷わずカウンターに座ってしまった。

「ほら。おいで」

マットさんがクスッと笑う。

「し、失礼します」

その後もお客さんが入ってきてあっという間にテーブル席も埋まってしまった。

どうやら人気店だったようで、タケルさんは忙しそうにしている。
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