今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
二人きりになった途端これだよ。

どうなってんだよ。

いつも紅羽を前にするとこうなる。
でも落ち着く。

他の女にはなったことが無い現象だ。

初めて会ったニューヨークの時だって…
話しかけられた後、物凄くドキドキしていた自分を思い出した。

やっぱりあの時俺…

すでに惚れてしまっていたのかもしれないと思った。

BARの入り口で大人になった紅羽を見た時鼓動が速くなったのも、今も、やっぱり惚れてるからだ。

レジデンスに到着して一度声をかけるもやはり反応がない紅羽を抱き抱えエントランスを潜れば、コンシェルジュがエレベーターまで手を貸してくれる。

そして五階について部屋へ入り、リビングを抜けて二階の寝室へと連れて行く。

そっとベッドに紅羽を寝かせてシーツをかけた。

紅羽の隣にしゃがんで額にかかった髪をよけて、我慢できずにそこにキスを落とす。

ムクっと反応する俺。

おい。
今じゃない。
今はダメだと言い聞かせ、そっとその場を離れた。
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