今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
私はハッと顔を上げる。

「俺と上書きする?」

これは夜の誘いだ。

でもそれでもいいのかもしれない。

「上書き…」

クラクラするのはお酒のせいなのか、この銀髪の彼の魅惑の囁きのせいなのか…

今日だけ我慢すればまた明日から頑張ろうと思ってたんだけどな。

「いーっぱいしてやる」

お酒のせいだよね。
お酒のせいにしよう。

お酒ってすごい。

「誠さんが…してくれるの?」

私はキュっと指を絡めた。

今はただ頭を空っぽにして、この人に触れたい。

「任せて」

「私を空っぽにして」

そう言うと絡めた指をキュッと握られた。
大きくて長い指。
色が白くて綺麗だ。
そして指と手の甲にはタトゥー。

「紅羽ちゃんかわいいな」

ドクンドクンと胸の鼓動がうるさい。

今夜だけ。
今夜だけはどうにでもなってしまえ。
< 19 / 288 >

この作品をシェア

pagetop