今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
「いやいや、驚いたよ。こんなに綺麗な奥様をもらっただなんて」

そう言って俺の隣に座る紅羽を舐め回すようないやらしい目で見る。

やめてくれ。

紅羽も気づいたのか苦笑いを浮かべている。

「せっかく日本にいたんだから、もっと早くに教えて欲しかったな」

そう言って事もあろうに紅羽にウィンクをした。

てめぇ、ふざけんなよ。

「九条さん。妻はあまりそういうのに慣れておりませんのでお控えください」

グッと堪えて紅羽の手を握って俺は制した。
ここじゃ皆んなが見てるから下手な事は出来ない。

ごめんな、紅羽。
そう思いまた握った手の力を強めれば、紅羽も返事をするようにそこに更に手を添えて包んでくれた。

顔を見なくても、会話をしなくても伝わってくる。

「ははは。これはこれは。マットくんらしくないねぇ」

俺らしくってなんだよ。
何も知らないだろ。
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