今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
「美味しい食事もお酒もご用意しておりますので、是非そちらもお楽しみください。本日はありがとうございました」

つとめて笑顔で答える。
そして会話を強制終了する。

後ろに控えてるニューヨークの知り合いと目が合って会釈をすれば、空気を読んで前に出てきてくれた。

「マットくん。おめでとう」

「フランク会長、本日はありがとうございます」

英語で話し始めれば、九条はその場から渋い顔をして立ち去った。

「何やら日本人にしてはあまり良さそうな人じゃなかったね」

九条の後ろ姿を見ながらそんな事を言う。

「ははは。色んな方がいらっしゃいますから」

「マットくんはまだ若い。何か困った事があったらすぐに言うんだよ。協力するからね。助け合ってこそ長く良い関係が築ける」

「フランク会長…。身に余るお言葉いただき大変恐縮です。今後とも、妻ともどもどうぞよろしくお願いします」

俺が頭を下げると、紅羽も笑顔で頭を下げた。
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