今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
すかさず俺はその場所に腰を沈めた。

「あっ…!」

「くっ…」

絞り取られそう。

紅羽の両肩が動かないようにベッドに手をついてグッと更に奥まで押し上げる。

「誠だけがいいっ…」

「うん。もう誰にも触らせないから」

「はぁっ…、誠だけを…感じたいっ」

「紅羽っ…」

俺だけを感じて。
嫌な事などもう忘れてしまえ。

そして俺は紅羽と大人になって初めて会った日も同じ事を思ったという事を思い出した。

元カレと後輩の結婚式に出て落ち込んでいた姿を見て放っておけなかった。

やっぱり俺をこんな風にさせるのは紅羽しかいない。

「愛してる」

「私も…誠だけなのっ…」

わかってる。
紅羽は俺のために九条と…

クソ。
やっぱり腹立つ。

気を抜けば本能のままに腰を乱暴に突いてしまいそうだ。

でも、紅羽だってあの時クリスティーナからいろいろ言われて嫌な気持ちになったのに、それでも俺のためと思って…

同時に自分の不甲斐なさに腹が立つ。
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