Dearest 1st 〜Dream〜
「……純、最近元気ないよな。どうした?」
吾郎に話し掛けられ、俺はハッと顔を上げた。
新学期が始まったというのに、俺の意識は急に飛んでしまうらしい。
「……えっ?そうか?」
すると隣にいたマリアも、
「……ちゃんと食べてるの?」
と、不思議そうに俺の顔を覗き込んで来た。
「食ってるよ♪
…食い過ぎなくらい。」
無理やりいつもの笑顔で作り笑いをする俺を、吾郎とマリアはジッと見つめて来た。
──…本当は食ってなんかいない。
食う事すら忘れてる感じだった。
……人間の本能すら忘れるなんて笑える。
──…と溜め息を付いた時……。
「純~~っっ!!
おっはよぉ~~!!★」
━━━━━バシンッ!
「────いっ……!!!!」
大きい痛みの波が、津波の如く全身を駆け巡って行く。
「純?どしたの?」
負傷している肩を思いっ切り強打してきた壱に悪態を付きたいのをグッとこらえ、
「………や、大丈夫…
寝違えたとこに見事ヒットしただけ……」
「なぁーんだ!
ごめんごめんっ!
本気で痛そうにするからビックリしちゃったよぉ!」
「……本気で痛いわボケ。」
ギュッと肩を押さえ、苦笑いをしながら体勢を立て直した。
……冬で良かった。
長袖だから、実はこの服の下が包帯ぐるぐる巻きだなんて知られずに済む。
──…こいつらには気付かれたくはなかった。
……というか、巻き込みたくなかった。
絶対に───……。