オレノペット
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暫くして、杉崎さんが枕元にあるスマホを手に取った。
「あ~…もう2時だ。どうする?起きる?」
「…はい。」
「あれ?不満そうじゃん。何、もっとして欲しい?」
「ち、違います!」
側のブランケットに手を伸ばし、杉崎さんの腕から出ようとした途端、再び捕らえられて引き寄せられた。
「……さすがにもう嫌?」
ほんの少しだけ吹くそよ風の様に、穏やかな杉崎さんの声。
それにどうしても気持ちが反応してしまう。
こうしている事が“嬉しい”……って。
「嫌…じゃ、ないです。」
「んじゃ、好き?」
「……その二択はずるい。」
「ずるくないよ。」
クルンとまた私を仰向けにして上から見下ろす杉崎さん。その瞳はさっきよりも微睡みが消えていたけれど、やっぱり優しい。
「言ってよ。好きだって。」
「っ…」
おでこと鼻先をつけて、後ほんの少しで唇が触れ合う。そんな距離。
「…言えよ。」
内緒話をするかのごとく、放たれた声。
杉崎さんの吐息が私の呼吸に混じり込み、甘さを覚えた。
「す…き…」
発した唇が震え、さらなる甘さを期待する。
「もっと。」
「好き…」
満足げに笑う杉崎さんが、そのままフワリと少しだけ唇を重ね、おでこをつけたまま「あ~…」と少し項垂れた。
「…これじゃあいつまでたっても起きらんないじゃん。」
「……。」
「沙奈の抱き枕感、半端ないね。」
「本当ですか?!」
思わず顔を勢いよく上向きにしたら、唇同士が少しまたくっついた。
「あ……」
しまった、自らキスを…。
眉を下げた杉崎さんが楽しそうに笑う。
「随分積極的じゃん。足りなかった?」
「ち、違います…そうじゃなくて…」
…だって、嬉しかった。
おんぶにだっこな日常を早く脱しなければと思っている今、どんな些細な事でも杉崎さんの役に立てるなら、私がここにいる『理由』になるから。
「あ、あの…だ、抱き枕をご所望の際はいつでも…」
「何だ、やっぱ足んないんじゃん。今からもっかいする?俺、腰抜けそうだけど。」
「ち、違う…そ、そうじゃなくて…」
笑いながら再びのしかかってきた杉崎さんの肩を押したと同時。
杉崎さんのスマホが再び揺れ出した。
思わず目を向けてしまった画面には“Lily”と浮かび出ていた。
さっきと同じ人だ…
『NY支社の担当誰?』
『…“リリイ”』
不意に過ぎった杉崎さんと田辺さんの会話。
「あ、あの…お仕事の事じゃ…出た方が…」
だって、この時間て、ニューヨークはまだ明け方か深夜だよね…そんな時間にかけてくるって、よっぽど急いでるとか、困っているとか…
「………うん。」
一緒に画面を見つめてた杉崎さんは、少し諦めた様な表情で一つ溜息を吐き出した。
「(あ~…リリイ?)」
スマホをタップし、私から離れて起き上がる。
「(どうしたの?)」
流ちょうに英語を話ながら散らばっていた服を着て、私の頭をポンポンと撫でて微笑んでから部屋を出て行った。
残された私。
何となく…会話を聞いてはいけない気がして、動けなくて。とりあえずもこもこのパジャマを着てベッドの上に体育座りでうずくまり、待った。
……杉崎さん、忙しいんだろうな。
私が我が侭言わなければ、今日は会社に泊まりで仕事だったのかも
抱き枕として認められた位で喜んでる場合じゃない…
やっぱりちゃんとおうちを探して自立しなきゃ。
暫くして、杉崎さんが枕元にあるスマホを手に取った。
「あ~…もう2時だ。どうする?起きる?」
「…はい。」
「あれ?不満そうじゃん。何、もっとして欲しい?」
「ち、違います!」
側のブランケットに手を伸ばし、杉崎さんの腕から出ようとした途端、再び捕らえられて引き寄せられた。
「……さすがにもう嫌?」
ほんの少しだけ吹くそよ風の様に、穏やかな杉崎さんの声。
それにどうしても気持ちが反応してしまう。
こうしている事が“嬉しい”……って。
「嫌…じゃ、ないです。」
「んじゃ、好き?」
「……その二択はずるい。」
「ずるくないよ。」
クルンとまた私を仰向けにして上から見下ろす杉崎さん。その瞳はさっきよりも微睡みが消えていたけれど、やっぱり優しい。
「言ってよ。好きだって。」
「っ…」
おでこと鼻先をつけて、後ほんの少しで唇が触れ合う。そんな距離。
「…言えよ。」
内緒話をするかのごとく、放たれた声。
杉崎さんの吐息が私の呼吸に混じり込み、甘さを覚えた。
「す…き…」
発した唇が震え、さらなる甘さを期待する。
「もっと。」
「好き…」
満足げに笑う杉崎さんが、そのままフワリと少しだけ唇を重ね、おでこをつけたまま「あ~…」と少し項垂れた。
「…これじゃあいつまでたっても起きらんないじゃん。」
「……。」
「沙奈の抱き枕感、半端ないね。」
「本当ですか?!」
思わず顔を勢いよく上向きにしたら、唇同士が少しまたくっついた。
「あ……」
しまった、自らキスを…。
眉を下げた杉崎さんが楽しそうに笑う。
「随分積極的じゃん。足りなかった?」
「ち、違います…そうじゃなくて…」
…だって、嬉しかった。
おんぶにだっこな日常を早く脱しなければと思っている今、どんな些細な事でも杉崎さんの役に立てるなら、私がここにいる『理由』になるから。
「あ、あの…だ、抱き枕をご所望の際はいつでも…」
「何だ、やっぱ足んないんじゃん。今からもっかいする?俺、腰抜けそうだけど。」
「ち、違う…そ、そうじゃなくて…」
笑いながら再びのしかかってきた杉崎さんの肩を押したと同時。
杉崎さんのスマホが再び揺れ出した。
思わず目を向けてしまった画面には“Lily”と浮かび出ていた。
さっきと同じ人だ…
『NY支社の担当誰?』
『…“リリイ”』
不意に過ぎった杉崎さんと田辺さんの会話。
「あ、あの…お仕事の事じゃ…出た方が…」
だって、この時間て、ニューヨークはまだ明け方か深夜だよね…そんな時間にかけてくるって、よっぽど急いでるとか、困っているとか…
「………うん。」
一緒に画面を見つめてた杉崎さんは、少し諦めた様な表情で一つ溜息を吐き出した。
「(あ~…リリイ?)」
スマホをタップし、私から離れて起き上がる。
「(どうしたの?)」
流ちょうに英語を話ながら散らばっていた服を着て、私の頭をポンポンと撫でて微笑んでから部屋を出て行った。
残された私。
何となく…会話を聞いてはいけない気がして、動けなくて。とりあえずもこもこのパジャマを着てベッドの上に体育座りでうずくまり、待った。
……杉崎さん、忙しいんだろうな。
私が我が侭言わなければ、今日は会社に泊まりで仕事だったのかも
抱き枕として認められた位で喜んでる場合じゃない…
やっぱりちゃんとおうちを探して自立しなきゃ。