高貴な財閥夫婦の秘密
「――――パパ、知ってるのかな?
私達のこと…」
梨良が、那留に言う。

「さぁ?
でも、そんな口ぶりだったな」

「嘘…ど、どうしよう……」

「でもよく考えたら、知っててもおかしくないよな。
おっさんは、梨良の全てを把握しておきたい人だし……」
那留が意味深に言う。

「じゃあ、どうして何も言ってこないのかな?
それだったら、今頃私…実家に連れ戻されてるはずだよ?」

梨良の問いに、那留が「あの人は“世間的に”バレなければいいんだ」と声を揃えて言った。

「“世間的には”幼なじみの親友夫婦でのシェアで収まってるだろ?
だからおっさんは、何も言わないだけ。
俺達…いや、梨良の“マイナス”になるようなことなら、今頃引き離されてる。
――――――だから“仲の良い夫婦同士”って、世間に擦り込んだんだ。
それなら、四人でいても“誰にも何も言われないし、怪しまれない”
おっさんにとって梨良は“身体の一部”みたいなモノだからな。
だから“自分の思い通りにしたいんだ”あのおっさん」

「………」
那留の言葉が、梨良を突き刺していた。


一方の美奈。
一人で、ある場所に向かっていた。

そびえ立つ、大豪邸。
門の前には警備員。

「―――――ん?あなたは…確か……」
警備員が、近づいてくる。

「あ、あの…私、和田町…あ、いや、瀧沢 美奈です」

「あ、やはり!
それで、何か…?」

「あ、あの!
梨良のお父様に、至急“内密に”お話したいことがあります。
今、忘年会の最中なのはわかってます。
連絡を取っていただきたいのですが……」

「………」

「お願いします……!」

すると警備員はその場で、長島に電話をかけた。

「――――――…………
…………はい、はい。
すみません……!
はい、かしこまりました!伝えます」
通話を切った警備員が、美奈に向き直る。

「明日の13時。
○○駅で待ち合わせとのことです。
旦那様は、時間に厳しい方。
時間厳守でお願いします」

「はい、わかりました」

丁寧に頭を下げる警備員に、美奈も丁寧に頭を下げた。


那留達三人に話す前に、元凶の梨良の父親に話そう。
もしかしたら、良い方向に向かうかもしれない。

美奈はこの時、そんな風に思い直していた。

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