The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…豊かな国ですね。本当に…」

ルーシッド殿が手配してくれた、帝都に向かう車の中で。

セトナ様は、窓の外を眺めながらそう呟いた。

…全く以て同感である。

この国に来てから、ずっとそれを感じている。

ルティス帝国は、豊かな国だ。

…俺達の祖国とは、大違い。

そもそも箱庭帝国では、選ばれた人間しか車に乗ることは出来なかった。

乗れたとしても、人を輸送する為の無骨なトラックくらい。

音も小さければ、揺れも少ない、天井も高い。こんな快適な車に乗ったのは初めてだ。

車だというのに、まるでホテルみたいじゃないか。

それに何より、車窓から見える景色。

行き交う人々は、誰もが色とりどりの綺麗な洋服を着て、笑いながら歩いていた。

片手に携帯や、アイスクリームを持って…自由に街を行き来している。

箱庭帝国では有り得ない景色だ。

自分の意思で好きな服なんて着ることは出来ないし、携帯電話なんて持っている人は憲兵局でも一部の人のみ。

そうだというのに、ルティス帝国では…一般国民が当たり前に持っているのだからな。

ルティス民の笑顔が、酷く眩しかった。

このような景色を…俺達の祖国で見ることが出来たら。

俺が作ろうとしているのは、こんな国なのだ。

それを再確認した。

更に。

「…ここが?」

「はい。到着しました」

憲兵局の本部並みの、荘厳な佇まい。

ルティス帝国帝室の、宮殿である。

ここに、帝国騎士団長がいるとか。

なんと立派な建物だろう、と俺は感心してしまった。

大きさは、憲兵局本部と同じくらいに見えるが。

それだけに、俺は祖国の憲兵局に嫌気が差した。

ルティス帝国より遥かに小さな国なのに、国のトップが住む建物だけは、ルティス帝国に張り合っている。

国民は、狭いスペースに押し込められているというのに。

それに、大きさは同じくらいでも、外装の立派さはルティス帝国の方が遥かに秀でていた。

比べるまでもないほどだ。

…本当に、豊かな国だな。

隣国とのあまりの差に、俺は溜め息が出そうになった。

でも…諦める訳にはいかない。

俺も、箱庭帝国をこんな国にするのだ。

羨ましがるだけでは、終わらせない。

その決意を新たに、使用人に案内されて、俺はセトナ様と共に王宮に入った。
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