The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
ネイルスの行方は、探すまでもなく分かった。

彼女の方から…会いに来てくれたからである。

その日、俺が仕事を終えたのは日付が変わる頃のことだった。

最近の『青薔薇連合会』は、例の革命軍のせいで、仕事が立て込んでいる。

おまけに、今はルレイアもいないから…彼のぶんの仕事もある。

まぁ、ルレイアの仕事は…惚れた腫れたがメインだから、俺が代われるようなことはほとんどないのだが。

それに、ルレイアの仕事を分担してくれと頼むまでもなく…シュノも「自分がやる」と意気込んでいたし。

それでも日付が変わる頃まで仕事に追われていたのは…やはり、連日の疲れが溜まって、能率が落ちているのだろうか?

『青薔薇解放戦線』の件から、働きづめだからな…。

ただでさえ、今は俺を邪魔しようとするルレイアもいないことから、張り切ってしまっているし…。

…さすがに、ちょっと疲れてきた。

眠気を覚まそうと少し頭を振り、視線を上げたところに。

そこに…ゆらり、と近寄る影に気がついた。

「…?」

はっとして振り向くと、そこにいたのは…件のネイルスであった。

俺が本調子であったなら、その場ですぐ、彼女の様子がおかしいことに気づいていただろう。

しかし、俺はそのとき…眠気と疲労でボーッとしていて、気づくのが遅くなった。

「ネイルス…?お前、一体何処に…」

一歩、彼女に歩み寄った瞬間。

暗闇で見えなかった彼女の目が、酷く濁って虚ろになっていることに気がついた。

反射的に身を引こうとしたが、しかし…そのときには、既に遅かった。

「っ!!」

肉を裂く音と共に、腹部に燃えるような熱を感じた。

視線を落とすと、脇腹にナイフの柄が突き刺さっているのが見えた。

俺は反射的に拳銃を抜き、躊躇いなくネイルスを撃った。

「…くそっ」

がくん、と膝をつき、俺は拳銃を取り落とした。

手足が痺れる。恐らく…ナイフに何か塗られているのだ。

…最悪だ。

俺がこんなことになったと知れたら、あいつは…。

「ルルシーさん!?」

「どうしたんですか!?」

銃声を聞き付けたのだろう、ビルの入り口から、黒服が二人駆け寄ってきた。

大丈夫だ、と言おうとしたのだけど…声にならなかった。

薄れ行く意識の中で、俺がずっと心配していたのは…俺が何より大切で、俺を何より大切にしている、彼のことだった。
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