The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…ど、どういうことですか…?オルタンス殿…」

馬鹿真面目なルーシッドは、オルタンスの言っていることが理解出来ないようだった。

「あ、もしや…友好国の贈答品に…ということですか?それなら…」

「ん?いや…。先日知り合いの男にバレンタインチョコを送ってもらってな。そのお返しをしようと思ってるんだ」

「…??」

ルーシッドは、気の毒なほど困惑していた。

何かの隠語?暗号なのだろうか?と必死に考えているのが伝わってくる。

…違うんだ、ルーシッド。何の隠語でも暗号でもない。

「ルーシッド…。深く考えるな。言葉通りの意味だ」

「は?言葉通り…?」

彼は、先日のバレンタインにルレイアからオルタンス宛に、チョコレートが送られてきたことを知らないのだ。

そんなことは、出来れば一生知らずに生きていて欲しかった。

でも、言わない訳にはいかない。

「この間、ルレイアからチョコが送られてきたんだよ。オルタンス宛にな」

「え…え?チョコ…?ルレイア…?」

「バレンタインがあったからな」

「…」

あぁ、もう気の毒で見ていられねぇ。

俺とリーヴァだけならともかく、何故ルーシッドまで巻き込むのだ。

「ルレイア…。かのマフィアの幹部が、何故オルタンス殿に…チョコなど」

「嫌がらせのつもりだったんだろうよ。…デスソース仕込まれてたしな」

あの後、三日は舌が馬鹿になって、まともに食べ物が食べられなかったからな。

オルタンスはけろっとしていたが。化け物めが。

「で、デスソース…?そんな…。帝国騎士団に対する明らかな敵対行為ではありませんか!それを無視して…。いや、そもそも…食べたのですか?」

「あぁ。食った」

「は…!?何故食べたんですか!?敵から送られてきたものを食べるなんて!」

全くだ。もっと言ってやってくれ。

馬鹿なんだよ。こいつは。

「チョコに罪はないし…。それに、手作りチョコだったから」

「…」

「手作りチョコなんて、もらうのは初めてだったんだ」

…ルーシッドは、信じられないといった顔でぽかんとしていた。

お前のその気持ちは…よく分かる。
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