The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
俺は、幼稚園児とでも話しているのだろうか?

過去の遺恨を消し去る、だと?

「…良いことを教えてあげましょうか、ルアリスさん」

実は今の俺を形作っているのは、あんたが大嫌いな「過去の遺恨」そのもの。

「綺麗事じゃ、人は救えないんですよ」

そんなもので救われるんなら、俺はとっくにあちら側に戻ってるだろうよ。

昨日まで自分を虐げてふんぞり返っていた人間と、仲良く手を取り合って生きていけとでも?

どんなお花畑で育ったら、そんな発想になるんだ?

「…少なくとも、お宅の国では無理ですよ。『悪者は全員処刑される』ってことを、生まれたときから叩き込まれてる連中ですからね。憲兵局の人間は、一人残らず処刑しないと…国民は納得しない。そういう人間性を植え付けられてる」

「…」

「革命で国の制度は変えられても、国民はそう簡単には変わらない。誰もがあなたみたいに…ご立派な頭をしてる訳じゃないですからね」

ルアリスは、何も言い返さなかった。

ようやく分かったか、救いようのない馬鹿め。

「怒れる国民の手で嬲り殺しにされるより、俺が撃ち殺した方がまだ慈悲深いというものですよ。…よく考えておくことですね、ルアリスさん」

「…はい」

全く、これだからガキのお守りは疲れる。

右を向いても左を向いても、馬鹿ばっかりなんだから。

「帝都に来たら、その辺もまた話し合いましょう。とにかく用意が出来次第、迅速に帝都に移るように」

「…分かりました」

これ以上、馬鹿と話してるとこっちまで頭が悪くなる。

俺は強引に話を終わらせて、会議室を出ていった。

さて、そろそろ…俺も帝都に戻らなくては。
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