The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「一体、何があったんだ?どういうことだ?」

「…フューニャは、箱庭帝国出身です。今回の革命で…憲兵局に命を狙われて、怪我をさせられました」

…何だと?

「彼女だけでも、安全な場所に逃がしてやりたいんです…。勝手なことを言っているのは分かっています。でも…どうしても、彼女だけは戦火に巻き込みたくはない」

「…」

「お願いします。俺は…俺はどんな危険な最前線に送られても構いません。フューニャを逃がしてもらえるなら…。だから、どうか…」

ルヴィアは、掴みかからんばかりの剣幕であった。

「ちょ…ちょっと落ち着け、ルヴィア」

とりあえず、落ち着いて話を…と思ったのだが。

ルヴィアは却下されると思ったのか、唇を固く引き結び、それから。

あろうことか、その場に膝をついた。

「は…!?」

部下に土下座なんてされたことのない俺は、思わずすっとんきょうな声を出してしまった。

「お願いします…!俺はどんな目に遭っても良い。でもフューニャだけは…!」

「ルヴィアさん…!」

とにかくまず、ルヴィアを落ち着かせようとしたのだが。

その前に、ルヴィアの嫁が動いた。

彼女は、土下座してまで自分を亡命させてくれと頼む夫にすがりついた。

「やめてください…!私の為にそんなことまでしないで。やめて…!」

「…」

…見ていられない。

とてもじゃないが。

あまりにも痛ましくて…何て声をかければ良いのか分からなかった。

とりあえず、まずは。

「…顔を上げろ、ルヴィア…お前にそんなことはされたくない」

何が嬉しくて、部下に土下座を見なきゃならんのだ。

それも、部下の中でももっとも信頼のおける人物に。

「ルルシーさん、でも、俺は…」

「良いから、とにかく顔を上げてくれ。話はそれからだ」

「…」

すると、ルヴィアは渋々ながら顔を上げた。

ルヴィアの嫁の、今にも泣き出しそうな顔がとても哀れだった。

全く…何だってこんなことになってしまったのやら。
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