The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
今からおよそ一月前。
俺の妻のフューニャは、バレンタインにチョコレートケーキと、それからチョコフォンデュを用意してくれた。
それだけではない。実はあの後、照れ臭そうにプレゼントまで渡してくれた。
洒落たデザインの、ボールペンだった。
あんまり嬉しくて、俺は翌日、ルルシーさんに見せびらかしに行った。
三十分くらいちょっと自慢しただけなのに、ルルシーさんは青い顔をして、「分かった。分かったから。もう勘弁してくれ」と頭を抱え出したので、そのくらいでやめておいたが。
それはともかく、バレンタインにそこまでしてもらったのだから…。ホワイトデーにそれなりの期待をしていることは間違いない。
俺はその期待を、裏切る訳にはいかないのだ。
そこで選んだのが、この高級ケーキであった。
フューニャは普段から、仕事帰りにケーキやドーナツ、シュークリームなどのお菓子を買って帰ると、大層喜ぶ。
だから、ケーキというチョイスは間違ってはいないだろう。
しかし、俺はケーキだけを盲信したりはしない。
夫婦の平和とフューニャの笑顔を守る為には、ケーキだけでは役不足だと思え。
その為俺は、ケーキだけではなく、そのケーキと一緒に飲む為の紅茶の茶葉を購入した。
一般人にはとても手が出せない、ベルガモット王家御用達の、超高級茶葉である。
これもマフィアのツテを使って購入したものだ。
使えるものは、何でも使わないとな。
しかし、俺はその高級茶葉でも安心しない。
万全を期す為には、ここで更なる追撃が必要だ。
そう考えた俺は、一週間くらい毎日、フューニャに何をプレゼントしようか、頭を悩ませた。
これはなかなかの難題だった。
というのも、フューニャは元々、物を欲しがるタイプではないのだ。
うちはそれなりに裕福な部類に入る家庭なのだが、そういう家庭の妻は、少なからず浪費するものだと思っていた。
ブランドバッグや華美なアクセサリーの類を買い漁り、エステやマッサージに足繁く通う、なんてことは…フューニャには全く当てはまらなかった。
フューニャはそういったブランド物には特に興味がないようだし、新しい服が欲しいとか、靴やバッグが欲しいとも言わない。
最低限は持ってるけど、それだって量販店でよく売られている、まるっきり安物という訳でもないけど、でも一般人でも比較的容易に手が出せる程度の値段のものだ。
俺に遠慮して欲しがらないのか。でも妻に一つくらいは立派なものを持たせてやりたいと思った俺は、自分からフューニャに申し出た。
ブランド品は欲しくないか、と。買ってあげようかと。
しかしフューニャは、はっきり要らないと答えた。
贅沢をしたいから、あなたと付き合っているのではないと。
全く、よく出来た妻である。
俺の妻のフューニャは、バレンタインにチョコレートケーキと、それからチョコフォンデュを用意してくれた。
それだけではない。実はあの後、照れ臭そうにプレゼントまで渡してくれた。
洒落たデザインの、ボールペンだった。
あんまり嬉しくて、俺は翌日、ルルシーさんに見せびらかしに行った。
三十分くらいちょっと自慢しただけなのに、ルルシーさんは青い顔をして、「分かった。分かったから。もう勘弁してくれ」と頭を抱え出したので、そのくらいでやめておいたが。
それはともかく、バレンタインにそこまでしてもらったのだから…。ホワイトデーにそれなりの期待をしていることは間違いない。
俺はその期待を、裏切る訳にはいかないのだ。
そこで選んだのが、この高級ケーキであった。
フューニャは普段から、仕事帰りにケーキやドーナツ、シュークリームなどのお菓子を買って帰ると、大層喜ぶ。
だから、ケーキというチョイスは間違ってはいないだろう。
しかし、俺はケーキだけを盲信したりはしない。
夫婦の平和とフューニャの笑顔を守る為には、ケーキだけでは役不足だと思え。
その為俺は、ケーキだけではなく、そのケーキと一緒に飲む為の紅茶の茶葉を購入した。
一般人にはとても手が出せない、ベルガモット王家御用達の、超高級茶葉である。
これもマフィアのツテを使って購入したものだ。
使えるものは、何でも使わないとな。
しかし、俺はその高級茶葉でも安心しない。
万全を期す為には、ここで更なる追撃が必要だ。
そう考えた俺は、一週間くらい毎日、フューニャに何をプレゼントしようか、頭を悩ませた。
これはなかなかの難題だった。
というのも、フューニャは元々、物を欲しがるタイプではないのだ。
うちはそれなりに裕福な部類に入る家庭なのだが、そういう家庭の妻は、少なからず浪費するものだと思っていた。
ブランドバッグや華美なアクセサリーの類を買い漁り、エステやマッサージに足繁く通う、なんてことは…フューニャには全く当てはまらなかった。
フューニャはそういったブランド物には特に興味がないようだし、新しい服が欲しいとか、靴やバッグが欲しいとも言わない。
最低限は持ってるけど、それだって量販店でよく売られている、まるっきり安物という訳でもないけど、でも一般人でも比較的容易に手が出せる程度の値段のものだ。
俺に遠慮して欲しがらないのか。でも妻に一つくらいは立派なものを持たせてやりたいと思った俺は、自分からフューニャに申し出た。
ブランド品は欲しくないか、と。買ってあげようかと。
しかしフューニャは、はっきり要らないと答えた。
贅沢をしたいから、あなたと付き合っているのではないと。
全く、よく出来た妻である。