The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「安楽な生活に甘えてしまったのは、皆だけじゃない。俺も同じなんだ…。だから、皆を責めることは出来ない。俺だって同罪だ」

当然、ルレイア殿が言うように…仲間を見せしめに殴ったり、怒鳴り付けたりもしない。

俺には、そんなことは出来ない。

だから、代わりに。

「でもこのままじゃいけない。いつまでもルティス帝国にいることは出来ないから。いずれは帰らなきゃならない。現実から…目を逸らすのは、やめにしなきゃならないんだ」

俺も、皆も。

自分のやるべきことを、果たさなくては。

「それが皆にとって凄く辛いことなのは分かってる。でも…今のこの平和は、本来俺達のものじゃないんだ。思い出して欲しい。祖国では、かつての俺達のように…苦しんでいる人々が、まだ多く残って…俺達が憲兵局を倒して、自分達を解放してくれる日を、今か今かと待ってるんだ」

その言葉に、皆はっとしていた。

思い出したのだろう。箱庭帝国に残してきた、家族や友人、近所の人々の顔を。

彼らは今も…俺達がいた地獄に、まだ取り残されている。

俺達がルティス帝国に守られて、安楽な生活を貪っている今も。

「現実を見て、受け入れて…そして立ち上がるんだ。今の俺達の仮初めの平和を…祖国で、本物の平和に変える為に。それが出来るのは、箱庭帝国出身の俺達だけなんだ。帝国騎士団でも、『青薔薇連合会』でもない。俺達の手で、祖国の平和を取り戻すんだ」

他人から与えられる平和じゃない。

この手で掴み取る平和だ。

その味は、一体どんなに甘美なものだろうか。

今よりずっと、俺達は自由に笑えるはずだ。

「俺は未熟者で、一人では何も出来ない。だから皆に協力して欲しい。一緒に戦って欲しい。皆の力を貸して欲しい…」

ルレイア殿は、俺達のことを「使い物にならない」と言うけど。

俺は、そうは思わない。

ここにいるのは、誰より祖国を思い、平和を願っている戦士達なのだ。

「皆にこんなことを言うのは、本当に酷なことだ。中には、平和を取り戻す前に…志半ばに命を落とす者も出てくるだろう。それでも…俺はここにいる皆に、俺も含めて、箱庭帝国の平和の礎になって欲しいんだ」

全ては、祖国の未来の為。

祖国の正義を、自由を、平和を取り戻す為。

その為に。

「未来の箱庭帝国民が、俺達の味わった苦しみを味わわずに済むように…。皆の子供や、更にその子供達が、戦いを知らずに生きていけるように…。俺達が今、立ち上がらなきゃならないんだ。歯を食い縛って、血を流してでも、平和を勝ち取るんだ」

俺は、皆の前で頭を下げた。

ルレイア殿からすれば、滑稽な光景だと思う。

それでも俺には、この方法しか思い付かなかった。

暴力で従わせることなんて、出来ないから。

「頼む。皆の力を、俺に貸して欲しい」

俺に出来るのは…心からの思いを、皆に伝えること。

その上で、一緒に戦ってもらうことだった。
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